資本主義の国アメリカで成功する利益公平分配システム

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2010年2月14日放送のテレビ番組『オレたち!クイズMAN』の中で、オードリーの若林氏が、
「NFL(アメフトのプロリーグ)の人気の秘密は各チームの戦力が拮抗しているためだが、それはなぜか」
というクイズを出題していました。

答えは「アメフト全体で売り上げた収益を均等に再分配しているから」だそうです。

要するに、チーム間での資金格差を無くして、補強に不公平が出ないようにするという仕組み(「レベニュー・シェアリング」というらしい)ですが、それが反社会主義の国アメリカで成功しているというのがちょっと意外ですね。

NFL日本公式サイト『NFL JAPAN.COM』によれば、NFLは「レベニューシェアリング」に加え「サラリーキャップ(チームの全選手の年俸総額に上限を設ける)」「ウェーバー制ドラフト(成績最下位チームから順に選手を指名できる)」という3つのシステムによって、各チームの戦力や資金力を均衡させています。
それにより、ニューヨークのような大都市にあるチームも、地方の小さなチームも、フィールド上では同じ条件で競い合えるわけです。
(※なおサラリーキャップ制については2010年度シーズンは適用されていません。)

各チームの優劣や資本の差を無くし、利益を公平に分配し、チームの給与総額の上限を決め、戦力のバランスを取ることで全てのチームに均等に勝つ機会を与えるというNFLのシステムは、一見、貧富の差をなくしすべての国民が平等である社会を目指した社会主義や共産主義的な発想にも思えます。
しかしその狙いは、チームの実力を伯仲させることで白熱したゲームを演出するためで、エンターテインメント要素を高めてプロスポーツとしてのアメフトの人気を維持させるところにあります。

所属する選手にとっては、サラリーキャップによる制度上の年棒上限は存在するものの、他のプロスポーツと同じく実力や人気、将来性に応じて年棒が変わるのですから、プレイのモチベーションは上がります。

しかし、レベニューシェアリングによって最終的に各チームの収益が再分配されるならば、NFLの個々のオーナーのチーム経営へのモチベーションはどのように、何によって保たれるのでしょうか。
メジャーリーグやNBA、欧州のサッカーリーグなどのプロスポーツにおいて、一般に企業や個人のオーナーがチームを所有する理由は、人気・実力ともに備えたチームを作り上げたり、またそのようなチームを経営することで収入や知名度のアップなどの恩恵を得るというスポーツビジネスが成り立っているからです。
(日本のプロ野球においては、球団独自では黒字化できず、親会社からの資金援助により企業の宣伝目的で存続する万年赤字球団も存在しますが、プロ野球自体が非常に欠陥だらけの行き詰った古いビジネスモデルといわざるを得ませんね)

実はNFLのチーム経営というのは、オーナーから見れば非常に安定したスポーツビジネスなんです。
2007年度の資産価値のチーム平均は、NFLでは9億5700万ドル(約1053億円)なのに対し、MLB(メジャーリーグ)は同4億3100万ドル(約474億円)、NBA(全米バスケットボール協会)が同3億7200万ドル(約409億円)、NHL(全米アイスホッケーリーグ)が同2億ドル(約220億円)となっており、他のプロスポーツに比べて抜きん出ています。
また、アメリカの経済誌フォーブスが2004年に発表したアメリカメジャースポーツの各クラブチームの資産価値の格付けランキングでは、16位のニューヨーク・ヤンキース(メジャーリーグ)以外は上位33位までをすべてNFLの32チームが占めています。
ウィキペディア(Wikipedia)より)

各チームの収入の約7割はリーグからの分配金で占められており、例えばテレビ放映権やチケット収入、ライセンスグッズ収入やスポンサー収入は一旦リーグにプールされ、分配金の対象となります。
一方、ローカル収益といわれるプレミアムシートの販売やローカルスポンサーからの収入などはチームの収益となるため、経営努力によってチームごとに独自の収益を上げることが可能です。また、サラリーキャップ対象外のコーチの強化などにより戦力アップのための工夫がされています。

つまりリーグ全体で豊潤な資金を分配し、戦力や資金を平均化させて健全な経営を維持しつつ、各チームの創意工夫と努力によってはさらに収益を上乗せさせることができるわけです。
それでも、最近の10シーズンを振り返っても異なる7チームがスーパーボウル制覇を達成しているように、戦力に圧倒的な格差が生まれるわけではありません。

かつて優れた理想を掲げながらも社会主義が凋落していった原因は、権力の集中による政治の腐敗や指導者と労働者に存在した埋まらない格差のためだと言われていますが、多くの人が指摘する一番の要因は、やはり他人の数倍働いても生活水準が向上しない上に私有財産が増えないということに尽きるのではないでしょうか。

創意工夫や努力が実らない社会や組織が繁栄することはありません。
個人個人がいい暮らしをしたいという願望が情熱となり、努力が報われることでモチベーションが上がり、ひいては社会の発展に貢献し、生活の向上につながるわけです。
つまり自己実現を達成し、富と名声を手に入れたいという人間本来の欲求に立脚したことが、資本主義が今も存続する理由のひとつです。

世界中の人々は今、リーマンショックに端を発した世界金融危機を経験し、その原因を招いた金融資本主義に不安を覚え、その後に選ぶべき新たな経済・社会システムを模索しています。

以前『アメリカ発・世界同時不況の真実』でも書きましたが、サブプライムローンのような不良債権が仕込まれた金融商品の流通や土地の売買など、実体経済と離れたところで生産性のない取引が行われています。その結果、不動産・金融業がアメリカのGDPの実に7割近くを占め、富める層がマネーゲームによってますます富み、破綻した金融機関のCEOやマネージャーでさえ巨額の退職金をもらえるなど歪んだ収入格差が指摘されています。

中国は、90年代に市場経済を取り入れ急激な発展を遂げている社会主義国家として興味深い国です。
その圧倒的な人口が可能にする生産力と市場規模により、かつての世界の「工場」から世界の「市場」と変化を遂げつつあり、いまやアメリカに次ぐGDP世界第2位の経済大国となりました。
しかしその反面、深刻な環境破壊問題や資源の浪費、都市と農村の巨大な経済格差、知的所有権が軽視されコピー商品が横行するなど、多くの問題を抱えています。

一方、資本主義体制を維持した上で福祉社会を実現させているのが北欧のデンマーク、スウェーデンなどです。
両国ともすべての国民の生活をまさに「ゆりかごから墓場まで」平等に国家が保障し、その財源としてGDPの約50%に上る税金と社会保険料負担でまかなう国です。教育は小学校から大学院まで無料、医療費も全額無料で、高齢者福祉や年金制度も充実しています。
ですが近年では世界的な不況の影響により経済の停滞が深刻で、重税の負担による高福祉政策が陰りをみせています。

少子高齢化の進む日本は、国内市場と消費の縮小によりGDPはこの先減少を続け今のままでは税収が増加しないことは明白なため、政府がきっちりとしたビジョンを示し、限られた国家予算を国民の年金や保険、教育や介護福祉などの社会保障に対しどのように再分配していくかが迫られます。
では、少ない税収を前提にした上で最低限の福祉をまかなう「小さな国家」を目指すのか、しかしそれでは高齢化社会への対応が不十分です。

政府はすぐにでも日本企業の国際競争力を再び高めるために法人税減税の議論をし、かつ不足している財源確保のため早急に消費税を上げる政策をはっきりと打ち出すべきです。
民主党は消費税を4年間上げないと言っていますが、消費税の引き上げを1年遅らせるごとに、その遅れを取り戻すのに10年かかるとの試算があります。

この20年間で日本では13人もの首相が代わりました。対して世界の主要国ではアメリカが4人、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアは3人、中国は2人です。
これでは、政治家は次の選挙を念頭に置いて目先の損得ばかりを追求するだけで、消費税率アップの早期導入など国家の大局をにらんだ判断がされるはずがありません。

ちなみに、マルクスの唱えた社会主義とは「発達した資本主義経済が社会主義経済へ移行する」、つまり市場原理の導入によって経済を発展させ、それを基に社会主義社会を実現し、さらに共産主義社会を目指すというものでした。

今やアメリカでMLBやNBAを人気やチーム収益で凌ぐスポーツである、NFLの「利益公平分配システム」による成功事例には、新たな社会システムの構築とまではいわないまでも、勝者と敗者にわかれるのではなくお互いが共存共栄できる、競争原理を残した社会資本主義社会へのヒントがあるように思います。

【関連記事】
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【参考資料】
週間ダイヤモンド 2010年3月13日号
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